子育て劇場第二幕開演

子育てはいつが一番大変なのかという問いには、いろいろな見解があると思います。

時間的にもっとも拘束され、自分の時間が持てないと言う意味では、乳幼児期が一番大変です。まだしゃべれなかったり、上手に感情を表現できないし、食事やお風呂、トイレなど全てにおいて手伝ってあげなければいけません。


そこを上手にこなせば、小学校に入る頃には、親子の信頼関係がガッツリ形成され、自分のことが自分でできるようになるにつれ、子育ての負担が減り、親が自分の時間も確保できるようになります。


ところが、子どもが小学校高学年くらいになってきて、思春期に入ってくるとまた新たな難しさ(子育ての楽しみ)が始まります。

一人の人間として自立するための心理的葛藤期とも言えるこの時期は、それまで素直に従っていたことに従わなくなったり、自分流の考えを持つようになります。

その子どもの変化に気づかずに、それまでと同じように接しようとしていると、うまくゆかなくなります。


この思春期は、子育て劇場第二幕の始まりです。全ての責任と面倒を見てあげなければいけなかった子どもから、一人の別の大人の人間に変化する最大の見せ場のあるステージです。

子どもが大きく変化しようとしている時期なので、当然、それに合わせて親も変化しなければいけないのですが、往々にして親はそれに気づかず、戸惑います。ベストな接し方は、日々変化してゆきます。常に手探りで少しずつ、進んでゆかなければいけません。


うちの上の娘も、間違いなくこの思春期に突入しました。私がそれに気づかず、これまで通りの距離感を持って、これまで通りの接し方をしてきて、たまに厳しい反応が返ってくるようになってきました。

妻に最近娘が厳しいと相談したら「だから男は鈍いと言われるんだ」と失笑されました。娘の心理的変化に対応した対応をしないと嫌われるよと言われ、ショックでした。新たなステージに入ったという観点から、娘の様々な行動を見てみると、すべて腑に落ちます。これまで通り、無邪気に学校での楽しかったことを話してくれるときもあれば、大人の不条理な理屈を押しつけられて反発するときもあります。


乳幼児の頃の子どもは、ハイハイしたり、しゃべり出したり、歩いたり、1ヶ月単位で大きく変化してゆきます。ところが、小学校に入ると、親が慣れてしまってその成長に気づかないだけかもしれませんが、乳幼児期ほどの急激な変化が少なくなるように感じます。

それが中学生くらいになって、また、急激な変化をするようになって、久しぶりの子どもの急激な変化に親が戸惑うのでしょう。


思春期の娘と父親というのは、最も難しい関係なのかもしれません。一方で、娘にとってこの時期というのは人間形成において、最後で最大の重要時期でもあり、その時期の父親の役割というのも大きいと思います。

適度な距離感を保ちながら、でも、価値観形成に関わってゆく、とっても困難だけど、やりがいがあって、楽しみでワクワクする場面です。


私と娘ダブル主演の「父と娘の成長日記」第二幕がいよいよ開演しました。台本もなく全てアドリブですが、30年後に娘が「最高だった」と言ってくれるような舞台としたいと思います。



思春期前の娘を持つお父さん達に伝言です。思春期の娘と共演するためには、乳幼児期からの関わりがとても大切です。第一幕を経験せずに、突然第二幕に出演するのは無茶苦茶大変です。

私がこんな困難な舞台に楽しく上がれるのは、娘との揺るぎない信頼関係ができている自信と、20年以上前、同じ舞台で娘役を演じた経験のある脚本家(妻)が舞台袖に付いてくれるからです。

最高の舞台に備えて今から妻や子の信頼関係を築きましょう。

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